2025年1月28日埼玉県八潮市で道路陥没事故が発生しました。当初、転落したトラック運転手はすぐに救助されると思われましたが、1週間過ぎた今でも救助されておらず安否が心配されています。
日本で起こった過去の道路陥没事故と被害についてまとめてみました。
埼玉県八潮市の道路陥没事故2025年1月
2025年1月28日午前9時50分頃、埼玉県八潮市二丁目の県道交差点で大規模な道路陥没が発生し、2トントラックが転落しました。陥没の規模は直径約10メートル、深さ約10メートルと推定されています。
トラックの運転手は当初、救助隊との会話が可能でしたが、時間の経過とともに応答がなくなり、安否が懸念されています。救助活動は難航しており、現場近くで新たな陥没が発生したため、周辺住民に避難が呼びかけられました。
埼玉県の調査によれば、現場の地下約10.6メートルに直径4.75メートルの下水道管が通っており、その破損が陥没の原因と考えられています。下水道管の腐食や破損により土砂が流入し、地下に空洞が生じた可能性があります。
今回の陥没事故は、老朽化したインフラの維持管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。高度経済成長期に整備された多くのインフラが老朽化しており、定期的な点検や予防保全の必要性が指摘されています。
過去の道路陥没事故の概要
21世紀でもかなりの陥没事故が起こっていますが、幸いなことに死傷者はでていません。福岡市の陥没事故は記憶に残っていますが、その他の陥没事故は2,3日報道された程度だったと思います。
1. 福岡市博多駅前の陥没事故(2016年)
発生日時: 2016年11月8日 午前5時15分ごろ
場所: 福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目
規模: 幅約30メートル、長さ約27メートル、深さ約15メートル
原因: 地下鉄七隈線の延伸工事に伴う地下水の流出
影響:
- 博多駅周辺が停電し、約800戸が影響を受けた
- ガス・水道・通信設備も損傷し、一時的に利用不能に
- 周囲のビルが傾き、事務所や店舗が一時閉鎖
- 交通規制により市内の渋滞が発生

この事故は日本国内で過去に類を見ない大規模な陥没事故となり、現場の映像は全国ニュースで大きく報じられました。事故直後から福岡市は復旧作業を急ぎ、約7日間という短期間で埋め戻しと仮復旧を完了。その迅速な対応が国内外で評価されました。しかし、事故後に周辺の地盤沈下も確認されるなど、安全対策の重要性が改めて問われました。
2. 名古屋市栄の陥没事故(2021年)
発生日時: 2021年6月29日 午前10時ごろ
場所: 愛知県名古屋市中区栄・錦通交差点付近
規模: 幅約5メートル、深さ約2メートル
原因: 地下の老朽化した水道管が破裂し、周辺の地盤が流出
影響:
- 道路が突然陥没し、交通が遮断
- 周辺の飲食店やオフィスビルで一時的な断水が発生
- 近隣の店舗の営業に支障が出た
この事故ではけが人は出ませんでしたが、都市部のインフラの老朽化が問題視されました。名古屋市は緊急点検を行い、ほかの地域でも同様のリスクがあることが判明しました。
3. 仙台市の道路陥没事故(2015年)
発生日時: 2015年2月6日 午後3時ごろ
場所: 宮城県仙台市青葉区一番町
規模: 直径約5メートル、深さ約4メートル
原因: 地下鉄東西線のトンネル掘削作業中に地盤が緩み、陥没が発生
影響:
- 陥没によって道路が封鎖され、交通渋滞が発生
- 近隣マンションの住民が避難を余儀なくされた
- 工事が一時中断し、開業スケジュールに影響
幸いにも人的被害はありませんでしたが、施工業者の安全対策が不十分だったことが指摘され、仙台市は工事監督の強化を発表しました。
4. 東京都調布市の陥没事故(2020年)
発生日時: 2020年10月18日 午後4時ごろ
場所: 東京都調布市東つつじヶ丘
規模: 直径約5メートル、深さ約5メートル
原因: 東京外環道(外環トンネル)のシールド掘削工事が影響した可能性が高い
影響:
- 住宅街の道路が突然陥没し、住民の間で不安が広がった
- 地下の空洞化が懸念され、調査が実施された
- 事故後、工事が一時中止され、外環道の計画見直しが求められた

この事故では、トンネル掘削に伴う地盤のゆるみが原因とされ、NEXCO東日本が追加の調査と補償を行うことになりました。住民の間では「ほかにも陥没が発生するのではないか」と不安の声が上がり、大規模工事のリスクが改めて注目されました。
5. 神戸市の陥没事故(2012年)
発生日時: 2012年10月3日 午前8時ごろ
場所: 兵庫県神戸市中央区布引町
規模: 直径約8メートル、深さ約5メートル
原因: 下水道管の老朽化により、土砂が流出し地盤が崩落
影響:
- 突然の陥没により、通行人が一時的に取り残される事態に
- 近隣のオフィスビルが停電し、業務に影響
- 下水道の点検と改修工事が急務となった
神戸市は事故後、市内全域の下水道設備の調査を実施し、老朽化した設備の改修計画を発表しました。この事故は、老朽化したインフラの定期的なメンテナンスの重要性を再認識させるきっかけとなりました。
まとめ
これらの陥没事故の多くは、地下工事の影響やインフラの老朽化が主な原因となっています。特に都市部では、地下にさまざまな施設(下水道、ガス管、電線、地下鉄など)が埋設されており、適切な管理がされていない場合、陥没のリスクが高まります。
今回の埼玉県八潮市の陥没事故も、老朽化した下水道管の破損が原因と考えられており、今後も全国的に同様の事故が発生する可能性があります。自治体や施工業者は、事故を未然に防ぐために、より厳格な調査やメンテナンスを行う必要があります。
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